2011年4月11日福島県浜通りの地震緊急調査

2011年4月11日福島県浜通りの地震

2011年4月11日17時16分に発生した福島県浜通りの地震(M7.0)に関する情報

2011. 4. 19
株式会社クレアリア
■調査の目的
2011年4月11日17時16分に発生した福島県浜通りの地震(M7.0)における地表地震断層の地表変状の分布範囲と変位量分布の確認を行いました.
あわせて,これまで確認されていない地表変状の分布確認を実施しました.
■地震の概要
3月11日14時46分に発生した平成23年東北地方太平洋沖地震(M9.0)以降,この地震の余震域(岩手県沖~茨城県沖)以外に日本列島においてM6以上の地震が各地で発生しました(長野県北部(3月12日:M6.2),秋田県沖(3月12日:M7.7),静岡県東部(3月15日:M6.4),茨城県北部(3月19日:M6.1),福島県浜通り(3月23日:M6.0)).
4月11日17時16分には福島県浜通りを震源とするM7.0の地震が発生しました.
気象庁による地震の概要(気象庁ホームページ)は以下の通りです.
地震の概要
発生日時 4月11日17時16分
マグニチュード 7.0(暫定値)
場所および深さ 福島県浜通り(いわきの西南西、約30km付近)、深さ6km(暫定値)
発震機構等 東北東-西南西方向に張力軸を持つ正断層型 (速報値)
震度 【最大震度6弱】福島県中島村(ナカジマムラ)、古殿町(フルドノマチ)、いわき市(イワキシ)、茨城県鉾田市(ホコタシ)で震度6弱、福島県白河市(シラカワシ)、須賀川市(スカガワシ)、鏡石町(カガミイシマチ)、天栄村(テンエイムラ)など17の市区町村で震度5強を観測したほか、東北地方を中心に、北海道から近畿地方にかけて震度5弱~1を観測しました。
■調査結果概要
平成23年4月11日17時16分頃,福島県浜通り地方でマグニチュード(M)7.0(気象庁暫定値),震源の深さ6kmの地震が発生しました.
この地震は東北東-西南西方向に張力軸を持つ正断層型の地震であり(気象庁,2011,防災科研,2011),太平洋沖地震に誘発された正断層系の地震であると推定されます.
地震直後(4月12日)の調査により,この地震にともなう地表地震断層として井戸沢断層に沿って地表地震断層が確認されています(石山ほか,2011).
当社では4月16日・17日に京都大学(遠田晋次准教授,堤浩之准教授)と合同で現地調査を実施して,地表変状の分布範囲と変位量分布の確認を行ないました.その調査結果と確認位置について写真を中心にして報告します.

地表変状はいわき市田人町石住綱木からいわき市田人町旅人に至る長さ12kmで南西側落ちの断層変位が確認されました.
いわき市田人町塩ノ平(しおのひら)地区では,最大変位量2mに達していることが確認されました.この最大変位を示す地点から南北に離れるに従って,変位量は徐々に小さくなっています.
いわき市田人町旅人では,地震時に地震断層直上の家屋にいた住民から地震時の貴重な体験をお聞きしました.住民の証言では「最初に少し揺れが来た後,下から3回ドン・ドン・ドンと突き上げられて体が飛び跳ねた.揺れが収まって家の外に出たら,家の下に段差が出来ていた.」とのことでした.この家屋近傍での断層の上下変位量は約40cmでした.

この井戸沢断層の地表変状のトレースの北東側にも地表変状があることを確認しました.この地表変状は,活断層研究会編(1991)に湯ノ岳断層として示される断層線の近傍に位置し,その変状の走向は断層線の方向と一致しています.土木研究所(2011)も私たちの調査と同時期に実施した調査でこの地表変状の北東側で変状を確認し,湯ノ岳断層の地表地震断層であるとを報告しています.
湯ノ岳断層の変状分布および変位量については,まだ全域での調査がなされていないため今後の精査が必要と考えます.
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■関連情報
地震調査研究推進本部
2011年4月11日福島県浜通りの地震に関する情報
気象庁
「平成23年(2011年)東北日本太平洋沖地震について(第35報)全文pdf
防災科学技術研究所
東北地方太平洋沖地震以降の茨城県北部・福島県東部の地震活動
国土地理院
平成23年(2011年)3月15日22時31分頃の地震に伴う地殻変動について
東京大学地震研究所
2011年4月11日の福島県浜通りの地震に伴う地表地震断層について
独立行政法人土木研究所
4月11日の余震でいわき市に出現した地表地震断層(速報)
日本活断層学会
2011年4月11日17時16分に発生した福島県浜通りの地震(M7.0)に関する情報